6月
鈴本演芸場 6月中席 落語協会百年興業
桂文枝師匠(つまり三枝)が東京でトリを取るという大変にレアな興行。
今年で80歳、これを逃したらもうほぼほぼ見る機会はないだろう、ということで、手術明けのままならない体を引きずって、当日券の行列に並ぶ。
どの落語ファンも狙っている興行と見えて、平日の開演1時間以上前から行列。
10日間、すべて満員札止めだっただろう。
顔付がすさまじい。大御所そろいぶみ。
正蔵師匠はNHKで「出演料で言ったら文枝師匠は寄席に出てもらえるようなランクの方では無い」と素直に言っていた。
その心意気に応えるように落語協会も全総力をあげて、文枝師匠を東京にお迎えという気持ちを表したのだろう。
その結果として生まれた、3000円で見ていいようなクラスでは無いこの興行。
互いの心意気に深く感謝したい。
芸的には、美人落語家で売り出してる二つ目の美馬(みーま)さんが思いの外に上手かったのが印象的だった。普通に上手い人枠で売り出した方がいいんじゃないか。
(余談:この2日後、ぼくはコロナを発症し5日間寝込む。そして3週間ほど後遺症で呆けて過ごす)
7月
末廣亭 7月下席
コロナのせいで、7月上席の神田松鯉先生の怪談も聞けず、たいへん残念に思っていたところ、遊雀師匠トリの会の前売りをなんとか買えたので滑り込み参加。
遊雀師匠がトリの芝居を見たことがなかったので大変にうれしい。
さらに席が、これまで座る機会を持てなかった桟敷席だったのでこれも嬉しかった。
まだまだ「はじめて」がいっぱい残されている落語道楽に浸かれるのが本当に幸せだ。
寄席の芸も素晴らしかった。
小痴楽の『宮戸川』、「発情するおばあさん」という見たことのないキャラが出てきたのに度肝を抜かれた。あんなことやっていいんだ。
8月
浅草 8月上席 「にゅうおいらんず」
宮治はあまり寄席に出ない。
笑点メンバーでもトップクラスの人気、あれだけの売れっ子になるとホールを回るギャラのいい仕事が次々と入ってしまうからだろう。
(そんなこと関係なく寄席に出まくっている一之輔は真の求道者)
そんな宮治が寄席に出る。
去年から噺家バンド「にゅうおいらんず」のメンバーになったからだ
宮治・昇太・小遊三と笑点メンバーが3人も出るこの日の浅草の熱気はすごく、猛暑を物ともせず当日券の大行列ができていた。
宮治の、轟音で走り抜けるアメ車のような落語もすごく良かったが、「にゅうおいらんず」になってからの場の制圧力もすさまじかった。
客席への気配り、舞台全体への目配り。スター性が本当にすごい。
昇太が「笑点はいま、民放の全番組で視聴率トップ」と言っていたが、それもうなずける。
林家たい平の小学生から楽しめる落語会 @さいたま市民会館岩槻
親が熱心に落語ファンをやっていると、その熱が子(小学3年生・女子)にも徐々に感染していくようである。
購読している落語専門誌「東京かわら版」に、気がつけば、娘の見たい落語会へとふせんが貼られていた。
こうなったら落語パパとしては連れて行ってやるしかあるまい。
岩槻も車で行けない距離ではないので、夏の思い出に一緒に行ってきた。
笑点でなじみのあるたい平師匠に加え、太神楽の達人・翁家和助さんも見られて大満足。
うちの子供はちょっと内気なので大人の行き交う寄席で見るよりも「小学生でも楽しめる」と謳っているこの落語会の方が安心して見られたようだった。
帰りの車で「初天神」の金坊のセリフを喜んでリピートしており、たい平師匠の見事な芸をまさに全身に浴したのだなと、たいへんにありがたく思いながら帰途に着いた。
次は「つる子の独演会が見たい」と言うので、万難を排してチケットを取りに動こうと思う。