まさゆき研究所

ライター・加藤まさゆきのブログです。デイリーポータルZなどに記事を書いています

寄席メモリーズ 2025夏 ご祝儀

6月

伯山プラス @イイノホール

伯山独演会「伯山プラス」当選。幼なじみの友と向かう。

そろそろ怪談の季節、やってくれないかなと思っていたら、嬉しいことに期待通り。
前から聞いてみたかった『乳房榎』をやってくれる。

iPodで聴く伯山ラジオも2周目に入り、ますます伯山が良い。

 

7月

末廣亭7月下席

寄席で行き残していた恒例興行である、人間国宝神田松鯉の夏の怪談へ。
昨年、自身のコロナで行けず、82歳の松鯉先生がこの1年の間で引退されてしまったらどうしようと、どきどきしながらこの夏を待っていたが、何とか間に合ってよかった。

この日は宮治、伯山、その他にも腕っこきの名演者揃い。昼から入ってたっぷり楽しむぞと思っていたら……



昼過ぎから急激な雷雨になり、時には落語が聞こえなくなるほどの豪雨と雷鳴。伯山がやってるあたりでMAXに達して、客席も苦笑い。

そして雷も止み、トリの松鯉先生は怪談「小幡小平次」。終盤、凄みの緊迫から、暗転。そして終わってから大拍手、開放。

退場後に散歩した雨上がり新宿の空気が別世界のようだった。

 

三遊亭兼好 独演会「けんこう一番!」@文京シビックホール

「落語を聞きに行ってみたい」という若者がいたということで、演芸ファンの友人が選んだのが兼好師匠の独演会。そこに合わせて僕も呼んでもらえて、3人で見にいく。

兼好師匠は落語の入口としては、喬太郎師匠よりも入りやすいかもしれない。どのキャラを見ても、出てくるだけで嬉しい、ずっと見ていたくなる愛嬌がある。

若者にも大満足してもらえて、最高の会だった。

 

8月

三遊亭仁之吉@つくばカピオ

突然「だれ??」という落語家になるが、初のつくば市出身落語家である三遊亭仁之吉さんだ。二ツ目に昇進されたので凱旋落語会である。

近所のセブンイレブンで何かの落語会のチケットを発券したら、顔なじみの店員のおばあちゃんに落語好きとばれてしまい、そしたらなんと、おばあちゃんが仁之吉さんの習い事の師匠だったという奇縁で、落語会に行く前に手ぬぐいすらもらってしまった。

仁之吉さんは、前座時代にも高座を見たけれど、なかなかに面白い方だった。今回の会でも初めての「蚊いくさ」というネタを聞かせてくれた。ぜひぜひNHK新人賞まで駆け上がってほしい。

 

9月

末廣亭 9月上席 夜の部「七代目三遊亭円楽披露興行」

七代目円楽が落語芸術協会に入ったので、円楽一門の披露興行を定席寄席で見られるということに。現象としては結構レアな番組である。
この日に口上で上がっていた兼好師匠も「みなさん……すごく珍しいものを見てるんですよ!」と言って笑いを取っていた。
僕も「これは珍しい!」と勢い込んで前売券を買ったら、めちゃくちゃ前方の席が取れたので「アッ意外と売れてない!」と拍子抜けする。同じ円楽でも笑点に出ていない円楽は正直まだまだなのだと実感。


でも前の席になったお陰で「できたくん」の発泡スチロール作品がもらえたのでよし。トトロと七代目円楽師匠。

円楽師匠のYouTubeはよく見ていて、とても面白い。バラエティもどんどんこなせそうなのだから、はやく好楽師匠の席を簒奪して欲しい。

 

池袋 9月中席

喬太郎師匠がトリ。2年ぶりに勢い込んで池袋演芸場に向かう。

時間があったので池袋の街を散歩。

最近は子供を連れてポケモンセンターばかり行っていたが、通っていた高校があったので、原体験的な思い出が色濃く残る。サンシャイン前から東口、西口、北口と、2時間ほど、30年の人生に思いを馳せながら丁寧に歩いた。

高校生の頃に通った50円ゲーセンは、今でもレトロゲーム専門のゲームセンターとして営業していて、「天地を喰らう2」とか「パズルボブル」とか、心臓が早鳴りするほど懐かしいゲームたちが稼働していた。

 

落語はトリの喬太郎、「品川心中」。
僕が落語の世界に取り込まれた最初の演目で、いつか高座で聴きたいと思っていたのだが、それが喬太郎師匠で聞けたので、本当に嬉しかった。

明烏」は兼好師匠で聞けたし、あとは「夢金」を誰か好きな師匠の口演で聞いてみたいもんだと思う。