まさゆき研究所

ライター・加藤まさゆきのブログです。デイリーポータルZなどに記事を書いています

40代になると「自然が偉大」とか思い始める

今年の冬はとにかく寒く、緩む気配を見せない寒波にうんざりすることも多かった。

それでも救いなのは、冬至を境に確実に日の長さと高さが増大していくことである。
一日ごと伸びていく夕方の長さには少しでも期待を持つことができたし、冬至には庭のふちまでしかなかった日照範囲がぐいぐい広がっていくさまは、続く寒さもいつかは終わるという気持ちを確信に導いてくれた。

そして僕は思ったのである。

「自然ってすごいなあ……」と。

ここ数年の教育のICT化で僕もすっかり情報機器に詳しくなり、今では常時4〜5種ほどのデバイスを駆使する日々である。

生徒たちとは授業と課題研究のなかで情報をびゃんびゃんやりとりし、10年前では考えられなかった密度で教育を行えるようになった。
出張も半分くらいはZoomで済むように社会の雰囲気も変わってしまった。

しかし、それでもなお日辰の運行に、人はこれっぽっちも手を出せないのである。
一日刻み・分刻みで進行する太陽や月の運行に従って四季の寒暖や潮の干満は粛々と進行し、それに対して人類は指一本たりとも変化させることができないのである。

 

と。

壮大に偉大さを感じたところではたと気が付いたのだが、この感情は、ここ100年ぐらい人類が40歳あたりになると感じていた感情なのではないだろうかと。

 電信・電話が普及したとき。

 送電線が整備され、電気の利用が普及したとき。

 テレビや冷蔵庫が家庭に普及したとき。

 インターネットが普及したとき。

40年生きているあいだに世界のあり方が変わったような技術革新を経験すると、産まれた頃と比較して変わるもの変わらないもの差に慄然とし、人はそう思ってきたのではないかと。

うちの子供はもうすぐ6歳なので、34年後に向けてタイムマシン郵便でこの日のこの記事を届けてやったら、どう思うだろうか。