まさゆき研究所

ライター・加藤まさゆきのブログです。デイリーポータルZなどに記事を書いています

加藤家の世界線、概念としてのプリキュア

5年前、子供が生まれたとき、

「もし今後、家の中では僕が創造した人造言語だけを使うようにしたら、この子はその言語のネイティブ話者になるのだろうか?」

などとくだらない妄想をしていたものである。

 

実際そんなことはもちろんしてないわけだが、そこまでの程度ではなくとも、子供(特に保育園に行っていない長子)にとっては、親が生活の全てであって、親が選んでいる生活のスタイルがそのまま子供の「世界線」となる、というのはあると思う。

 

この点、加藤家で顕著なのは、両親共に民放を全く見ないという生活スタイルであることである。

僕はヘビーなNHKファンで、民放は年に1回箱根駅伝を見るだけで、あとはずっとNHKだけを熱心に見ている。
かみさんはそもそもTV自体ほぼ見ない。僕がNHKのニュースを見ているだけで「うるさい」と怒ることすらある。もちろんYouTubeも見ない。

というわけで、うちの子供はそろそろ5歳半になるが、TV=NHKという世界線で生きており、好きな番組は「ダーウィンが来た」「ムジカピッコリーノ」「京も一日陽だまり屋」「ブラタモリ」という、生粋のNHKっ子に育っている。

 

しかし、不思議なのは、にもかかわらずプリキュアが大好きなことである。

 

もちろんプリキュアのアニメなど1秒も見たことがなく、プリキュアがアニメであることや、プリキュアをテレビで視聴できることなども含めて、全く知らない。

それなのに幼稚園でプリキュアの存在を知って興味を持ち始め、キャラの名前を覚えて「キュアフォンテーヌだいすき」とか言い出し、プリキュアのプリントトレーナーを欲しがったりプリキュアショーに行きたがったりするのである。アニメの存在にすら気付いていないのに。

さらにこの春にはとうとう「4月からプリキュアが新しくなるんだよね。幼稚園も流行りがあるからついていくのが大変」などといっぱしのことを言い出した。

いや、流行りも何も、そもそも乗ってないんだよプリキュアの流れに。君は。

 

いったい、彼女にとってプリキュアとはどのようなものと認識されているのだろうか。

 

なお、同じく「ラブパトリーナ」という存在についても「幼稚園でラブパトごっこした!」と意気揚々と報告してくれるが、彼女はそれが番組であることすら知らないのである。

いったい、どのようにして「ごっこ」に参加しているのだろうか。