まさゆき研究所

ライター・加藤まさゆきのブログです。デイリーポータルZなどに記事を書いています

努力2割

僕は麻雀を打つ。

小学生の頃、兄に付き合ってルールを覚えてから、そんなに熱心でもなくふらふらと打っている。最近はほとんどやってなかったが、この冬、久しぶりにやる機会があってちょっと集中的に打った。

そしてあらためて思ったのは、「基本的に運ゲーなのに、人の感情を絶妙に揺さぶるこのゲームバランスが、長きにわたって人々を虜にしてきたのだな……」ということだった。

麻雀は基本的に運の要素が大きく、ものすごく上手い人でも実力3割、運7割だというから、僕らのような普通の麻雀打ちの実力なんて勝敗の要因の2割ぐらいなもんで、残りの8割が運で決まるゲームに血道をあげていることになる。

が、この実力2割というのがポイントだと思う。

8割の運に頼って勝っただけなのに、2割は努力しているから、実力で勝ったような気になってしまうし、逆に、運が悪くて負けただけなのに、2割の努力に問題があったのではないかという気にさせられるから、「次こそ!」と思ってまたチップを突っ込むことになってしまう。感情をしびれさせるスパイラルが絶妙なのだ。

なのでまともな指南サイトには「1位になるときも4位になるときもある。たとえ負けても『自分は確率的に正しい打ち方をしていたのだ』と信じて、理論にブレを生じさないのが大事」と書いてあったりする。

しかし普通の人はこれができなくて「負けを取り返すべく、ここは勝負に出よう」と思ったりして、また大損を喰らうことになってしまう。

 

そしてこれは、株の取引きのコツに書いてあるのと全く同じ内容だ。
株をやる限り損が出る日もあるのだから、短期的な損にイライラせず長期的に取り組め、と。
そういった意味でも、株と麻雀は似たところがあるのかもしれない。
8割は運で決まるが、人は2割の実力で勝ったと思い込んでしまう。
そして勝った人は「必勝法」を得意げに語ってしまいたくなるので、その話を聞いて鵜呑みにした人は、「必勝法通りにやれば!」と勝負に挑むも、損する結果に終わってしまうのである。
結局のところ、必勝法などというものは何一つ無く、唯一あるとすれば「負けても頭に血が上らないないようにする平常心」ぐらいのものなのだろう。

そう思うと、たかだか麻雀2~3回ぐらいで一喜一憂してしまう僕なんかは全然株式投資に向いてないのかもしれない。(そもそもやっていないが)

 

そして、ちょっと大きな話になるが、人生もそのようなものなのかもしれない。

運・実力の割合、押し引きの加減。勝者の語り、敗者の弁。

これ以上書くと説教くさいことを書いてしまいそうになるので、ここらで筆をおく。