『東京タラレバ娘』が引き続きおもしろい。
東村アキコさんは、言うまでもなく日本屈指の漫画家さんで、何読んでも面白いんだけど、たまに途中でとつぜんストーリーが失速することがある。
タラレバも3巻まで読んで、「もしかしてここまでが絶頂かも?」と思わせる雰囲気がちょっとあったが、全くそんなことはなく4巻でも鈍ることのない素晴らしい伸びだった。
東村さん独特のコミカルさとシリアスさのバランスも絶妙で、細やかな感情を丁寧に描きだすその筆力が惜しみなくアウトプットされている。
『ひまわりっ!』の、意地悪のセツ子が突然チキン南蛮について語り出すあのコミカルさ、『かくかくしかじか』の、日高先生にマンガで稼いだ金で絵画を描け!と言われたあとのアキコの表情。どの作品を読んでいても、心に温かい風と冷たい風が交互に吹き込んでくるような魅力がある。次が楽しみだー。
さて、東村さんと同じく、話題の番組『漫勉』に取り上げられていた藤田さんの作品。
黒博物館 ゴースト アンド レディ 上 (モーニング KC)
- 作者: 藤田和日郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/07/23
- メディア: コミック
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友達に借りたゴーストアンドレディ。
うしとらが絶頂だと言われて久しい藤田さんだけど、この作品はめっちゃよかった。得意技である最後の伏線回収には思わず涙をこぼしてしまったぜ。
最近「サンデー」への復帰を発表してたけど、こういう「モーニング」らしいテイストに仕上げられた藤田さんの作品もいいものだと思った。ぜひまた読みたい。
最後に、そのモーニングの話題作と言えば『コウノドリ』。
僕はもう、あまりに長年モーニングを読んできたせいか、モーニングぽいマンガを少し斜に構えて見てしまうところがあるんだけど(『グラゼニ』とか『宇宙兄弟』とか)、コウノドリはそこからまた新しいものを見せてくれた感動があった。
生誕と死が隣り合わせにあるという産婦人科の特異さを、綿密な取材に基づいて本当に丁寧に描いている。モーニングっぽい「仕事ってこんなに素晴らしいね!」的な押し付けがあまり前に出過ぎず、読みやすい。
ドラマの最終回にも取り上げられた「死戦期帝王切開」の話は本当に圧倒的すぎて、全身の毛が逆立つほどの迫力だった。産婦人科にしかできない究極の蘇生手術。中二病っぽいその名前も気持ちをそそるところがあり、まさに日本マンガ史に残るレベルの「読まずに死ねるか!」というシーンではないだろうか。
この作品もまだ続くというので、期待が高まっている。