7歳年の離れたサブカルな兄が僕にはいたのだが、今思うと80年代末の僕の少年期は兄にしてやられていたのではないかと思うことが多い。
小学3年生・「火の鳥」を買わされる
加藤家では小学3年生からお小遣いをもらえるシステムだったのだが、もらったお金で何のマンガを買ったらいいか兄(高1)に相談したところ、「火の鳥」との回答が返ってきた。
ふつう、小学3年生に「火の鳥」はすすめないだろう。しかも、表紙に劇画みたいな絵が描いてある特装版みたいなやつだった。
おかげで、僕が人生で初めて買った漫画は「火の鳥(2)未来編」である。今思えば兄が読みたいマンガを買わされていたのではないだろうか。明らかに兄にしてやられている。
小学4年生・「ファイナルファンタジー」を教えられる
当時、小学生なんてRPGといえばドラクエぐらいしか知らない時代で、僕らはそれにウキャウキャと喜んでいたのだが、兄がどこから聞きつけたか、明らかにドラクエには無い魅力を放つとんでもないゲームを借りてきたのだった。
これである。
天野喜孝さんの絵から神話のような香りが漂うそのゲームに僕はとてつもなく心を奪われそのすべてに虜になり、兄に命じられたレベル上げにすら嬉々として取り組んでいたものだった。明らかにしてやられている。
小学5年生・「VOW」を与えられる
さて兄も高校3年生になり、すこし大人びたものにも手を出し始めるのだが、この頃兄が買ってきたある一冊の本の衝撃はすごかった。
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説明は不要だろう。このあと90年代にわたり一世風靡する「VOW」の第1巻である。これからしばらく、僕は街中や新聞でヘンなものを見つけては「お兄ちゃんあったよ!」とネタを報告する兄の特派員になったのであった。明らかにしてやられている。
小学6年生・「女神転生」買ってきやがった
兄は全く受験勉強せずに、コサキンのラジオの深夜イベントとか行っていたため見事に浪人し予備校通いとなるわけだが、そんな兄が明らかに何かの確信をもって一つのゲームを買ってきた。
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このあと10年の僕の人生を左右したと言ってもよい、初代の『女神転生』である。
兄はさすがに受験勉強をしていたので時間が無く、かたわらで弟にこのゲームをプレイさせ、それを眺めて満足していたようである。
やはり、明らかに兄にしてやられている。
ただ、このおかげで僕は小学校で「ジャンプには載ってない面白いものを次々と繰り出してくる」という居場所を得ることができたので、いま思うと感謝しかない。
ありがとう、兄さん。